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Q.31 カラオケを始めてから声が少しかれているようになり、高い声が出ません。声帯ポリープでしょうか?
A.31  その可能性はあると思います。カラオケをやっているひとが皆さんなるわけではありませんが、一生懸命にやっているかたでは、大きな声で歌い、長い時間歌うこともあると思います。お酒もはいっているかもしれませんし、お部屋の空気が汚れていたり、乾燥したりして、声帯に無理がかかります。あと、自分の好きな曲を歌手になったような気持ちで、自分の音域以上に発声し無理をしていることもあると思います。
声帯は粘膜で微妙な動きで声を出しています。声帯の激しい運動による機械的刺激によって、限局性の出血が生じ、血豆みたいな血瘤腫ができます。
おかしいと思ったら、耳鼻科医で喉頭のファイバースコープ検査をして診断してもらいましょう。
大いにカラオケを楽しみ気持ちを豊かにされることは良いことだと思いますが、お酒を飲みすぎないこと、自分の声域以上の無理な発声をして歌わないこと、長い時間歌わないこと、大声で歌わないこと、部屋の乾燥に注意し、お口の中の乾燥を防ぐためにときどきお水を含んでいてください。

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Q.32 点耳薬の使い方について?
A.32  耳鼻科のお薬の中では大きな役割を果たす点耳薬ですが、その必要性について少し述べたいと思います。
先ず、お薬の使い方には2種類あって、1つは全身投与で血管内に直接投与する注射や点滴、あとは錠剤やカプセル、粉末、シロップなどの飲み薬を飲むことによって全身に薬をゆきわたらせるやりかたです。
もう1つは局所投与です。これは悪いところに直接お薬を投与する方法ですが、耳鼻科では、耳や鼻に薬をいれることがあります。
全身投与は血液を介してまんべんなく全身にお薬を行き渡らせることが出来ますので、体の中から、病気を治すのに適しています。
局所投与は直接、患部あるは患部の近くに薬物を投与するので、お薬の濃度が高い状態で投与できます。速やかに患部にお薬が移行しますが、患部以外への影響が少ないというメリットがあります。
では、耳鼻科ではどういう疾患で点耳薬を処方するかというと、外耳、中耳の疾患が対象となります。主に外耳炎と中耳炎です。これらの疾患は細菌の感染によって引き起こされるものが多いので、抗菌剤を含む点耳薬がつかわれます。先に述べたとおり抗菌剤の点耳薬を直接投与すると、外耳や中耳に高濃度の抗菌剤が速やかに患部に移行します。そして炎症を引き起こしている細菌の繁殖を抑えますので、内服薬だけでは不十分だった抗菌薬の作用を高め、治療効果も高める結果となります。
では実際にはどうやって使うのかお話します。
点耳薬は悪い方の耳を上にして、耳の中に薬液がいきわたるようにします。決められた量を入れた後、耳たぶを1〜2回ひっぱって、少し耳をゆするようにすると薬液が奥の方まで行きます。その後10分ぐらい横になったまま静かにしていてください。点耳後は清潔なガーゼやティッシュで外に流れ出た薬液はふき取ってください。この時、冷たい点耳薬を耳に入れると、めまいをおこすことがあります。少しすればなおりますが、必ず体温ぐらいに温めてからつかってください。また点耳薬の容器の先は直接外耳道などの皮膚に触れないようにしてください。

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Q.33 このところにおいがしないのですが?
A.33  においを感じなくなることを嗅覚障害といいますが、たとえば、鼻かぜなどをひいたときに鼻が詰まって、鼻水がでて、それに伴ってにおいもあまり感じなくなることがあります。この場合はだいたい炎症により鼻粘膜が腫れて、においを感知する粘膜まで、においが届かなくなることが原因です。だいたいは、カゼがなおれば、においが戻ってきますが、このとき、風邪のウイルスなどによって嗅粘膜や嗅神経が傷害されるとにおいがもどらなくなることがあります。
ここですこし、嗅覚ということでお話します。嗅覚をつかさどるのは嗅神経で、頭の前の方にある対性の嗅球のしたから嗅糸が出て篩板という骨を貫き、嗅裂という鼻くうの上の方の直接目で見えない部分で嗅粘膜を形成します。この面積は2〜10?ぐらいあるといわれてます。におい物質は20万〜40万あるといわれてますが、香料物質として用いられているのは5千種くらいあります。嗅覚は個人差、体調、環境、ホルモンによって差がありますが加齢によって低下していきます。各年代を通じて女性の方が嗅覚が鋭いといわれてます。
さて嗅覚の状態の検査の仕方ですが、当院では基準嗅覚検査と静脈性嗅覚検査法を行っています。
基準嗅覚検査は基準臭として5種類をもちいます。A:バラの花のにおい、軽くて甘いにおい B:こげたにおい、カラメルのにおい C:腐敗臭、古い靴下のにおい、汗臭いにおい、納豆のにおい D:桃のカンヅメ、甘くて重いにおい E:糞臭、野菜くずのにおい、口臭、いやなにおい。おのおの8段階の10倍希釈液よりなり、被検者にかがせて判定します。何かにおいがした希釈倍数を検知閾値、さらに濃度を上げ、なにの臭いか正答した希釈倍数を認知閾値とします。
つぎは静脈性嗅覚検査ですが、アリナミン液2mlを20秒かけて肘正中静脈( よく採血する静脈 )に注入してアリナミン臭を初めて感じとるまでを潜伏時間(正常7〜8秒)、においを感じてから消失するまでを持続時間(正常60〜80秒)とします。この2つの検査によって、嗅覚の障害部位を予想します。
では次に障害にはどういう分類があるかここで述べます。
(1) 呼吸性障害:嗅粘膜がある嗅裂部が機械的に塞がれているため嗅素が嗅粘膜に到達できないことにより生じます。鼻炎、副鼻腔炎、鼻茸、鼻中隔湾曲症、後鼻腔閉鎖症、鼻腔内腫瘍などによります。
(2) 末梢神経性障害:鼻、副鼻腔の慢性疾患、ウイルス感染、有毒物の吸入、加齢などにより嗅裂部にある嗅神経の終末または嗅粘膜が障害されるか嗅神経の損傷によります。
(3) 混合性障害:(1)と(2)の合併した状態
(4) 中枢神経性障害:梅毒、頭部外傷、発育障害、腫瘍、加齢などによる嗅覚中枢または嗅覚伝道路の器質的あるいは機能的障害によります。
(5) はきっりしない場合
1番多いのは(5)番かもしれません。
治療法については外来にてお尋ねください。

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Q.34 インフルエンザにかからないようにするにはどうしたらいいですか?
A.34  インフルエンザの感染は、患者さんの飛まつを吸い込む以外に、飛まつの付着した手指が口や鼻の中に直接触れることでも成立します。インフルエンザの粒子はマスクを通過するほどちいさいですが、マスクをすることで飛まつが通過しにくくなる上、手が口や鼻に触れる機会もすくなくなります。また、外出したあとにはよく手洗いをすれば、手についた感染性の粒子を洗い落とせます。できうればインフルエンザの流行時期には人ごみへ外出を必要以外は避けることです。

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Q.35 鼻血はどうしてでるんですか?
A.35  鼻血は何らかの原因で鼻の粘膜にある血管が切れて出るものです。よく患者さんが何もしないのに出るといいますが、そういうことはなく、鼻の粘膜に対する機械的な刺激が必ずあるものです。簡単な例で言えば何の気なしに鼻をこすっていたり、鼻の中に指を入れて、鼻くそをほじっていたりして、その結果粘膜に傷がつき、出血しやすい状態となります。1度鼻血が出ると、その部位にかさぶたがついたり、それに鼻くそが合体したりして、鼻が詰まる感じがしてついほじってしまいます。鼻血を繰り返すのはこういう理由からです。ただ、中には大人の方で、出血部位がはっきりしない場合があります。背景として、高血圧、動脈硬化、出血傾向を示す疾患があったりすると、鼻の奥の方から大量に出血したりして、耳鼻科医を困らせることがあります。

ここで、鼻血の分類をしめします。
1、特発性(機械的、物理的刺激によるもの)
鼻をかんだり、鼻をこすったり、鼻をつよくかんだり、くしゃみなどの刺激やセキなどによって血圧の上昇によって出血することがあります。これらが特発性として鼻血の8割ぐらいを示します。
2、局所的原因
(1)アレルギー性鼻炎、急性鼻炎、副鼻腔炎、鼻前庭の湿疹
これらの病気があると何らかの理由で、鼻がかゆかったり、つい鼻をいじる機会が増え、鼻血をきたしやすくなります。あとは、子供では鼻にボールが当たったり、転んだりして鼻血をきたしやすくなります。あと鼻の中の異物が原因のこともまれにあります。
(2)腫瘍性疾患
鼻・副鼻腔の血管腫。ついこの間もご年配の方で、鼻血がどっと出るとの訴えで、ご自分でつめられた綿花を取るとどばどば出て、全体がよく観察できずに取りあえず、止血処置だけというかたがありました。後日、大学病院で、検査してもらったら腫瘍であったということがわかりました。こういうことは何年かに1度はあります。あと若年性鼻咽腔血管繊維種というのもあります。
(3)血管異常
全身の血管異常を伴うOsler病。わたしはまだこの患者さんにおめにかかったことがありません。一般の診療所では、鼻血だけで来院することはないと思います。
3、全身的原因
(1)血液疾患
出血素因を認める疾患においてはしばしば、鼻血をみとめます。
特発性血小板減少性紫斑病、白血病、血友病などです。
(2)薬剤性
アスピリンの服用などによる凝固機能低下に伴う鼻血もあります。

おおかたは、キーゼルバッハという鼻中隔の粘膜下に毛細血管のネットワークを造っている部分がありますが、そこからの出血です。お子さんの場合では、わたしは、前鼻鏡を使ってその部位を照らして、父兄の方にお見せするようにはしてます。

下に鼻中隔の血管のネットワークの解剖学的な構図を示します。4つの血管系から構成されています。


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Q.36 果物を食べると口の中がぴりぴりします。どうしてですか?
A.36  これは口腔アレルギーといって、花粉症やラテックス(ゴム)アレルギーの患者さんに、果物や野菜などに対してアレルギー症状を示す人がいます。これは原因食物でアレルギーが生じるいわゆる食物アレルギーとは異なり、吸い込んだり触れたりするものでアレルギーが成立していて、その抗原となるものと交差反応性を有する食物を食べたあとに発症するものです。特徴としては口の中や、そのおくの咽頭の粘膜にピリピリした刺激症状や腫脹が出現します。口腔アレルギー症候群といわれてます。
たとえばどんな植物であるかというとシラカバ、ハンノキ、ヨモギ花粉症に高率に発生するようです。そしてどんな食物をとると起こるかというと、シラカバ、ハンノキ花粉症では、りんご、さくらんぼ、モモ、ナシ、ぶどうなどのバラ科の果物が特徴的です。ヨモギ花粉症では、セロリやカレースパイスなどにふくまれる食物でもおこるようです。また、日本で多い杉花粉症ではトマトによるものもあるようです。また、おおくの花粉症に共通して、メロン、スイカ、キウイによるものもあります。
ラテックスアレルギーでは、クリ、アボガド、バナナなどがあるようです。

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Q.37 寒くなると鼻が詰まるのですが?
A.37  鼻が冷たい空気にさらされると鼻の粘膜が腫脹して、鼻の鼻腔抵抗が増し、鼻詰まりを生じます。これは鼻が外からの冷たい空気を温かくして気道に入る空気を体温と温度差のないようにコントロールしているからです。乾燥した冷たい空気も鼻の粘膜で加湿して、気道の粘膜を傷めないようにしてます。どんなに寒い土地でも人間が生きていけるようにしてます。ですから、鼻の機能を向上させるためには、鼻の空気の通る道を狭くして、空気と鼻の粘膜とが接触する面積を増やす必要がでるのです。
鼻から吸い込まれた空気は咽頭に届くまでに体温近くまで温められて、そして十分に湿気を含んだ状態になり、気道に影響を及ぼさなくなります。

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Q.38 口内炎がよくできます。どうしたらよいですか?
A.38  もっとも一般的にみられる反復性の口内炎はアフタ性口内炎です。アフタの原因としては、感染、免疫学的素因、遺伝子学的要因などがありますが、はっきりした発症のメカニズムはわかっていません。できないようにするための方法を聞かれますが、予防法もよくわっかていません。一応、口腔内を清潔に保ち、風邪をひいたり、ストレスをためたりしないことが肝心です。精神的、肉体的に体調がわるかったりするとできるようです。

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Q.39 年をとってきたらむせるようになってきました。なにかのどに悪いものでもできたのではないでしょうか?
A.39  水を飲んだり、食事をしたりしてむせるのは、気管に入ってしまうためです。誤嚥といいいます。
先ずは嚥下のメカニズムについて考えて見たいと思います。
人の嚥下は口腔期、咽頭期、食道期の3段階に分かれます。口腔期は随意運動からなりますから、自分の意思で行います。咽頭期、食道期は、不随意運動からなる反射運動になります。余談ですが、小さいお子さんに嫌がるくすりを飲ませる時には、咽頭に入れれば必ず飲み込みます。ポリオの予防接種は経口のワクチンなので、口さえあけられれば、そのすきに咽頭にワクチンを入れ、口を閉じます。これでほとんどの子がごっくんと飲み込んでしまいます。
では、誤嚥の原因を考えて見ます。
口腔期が障害されると、食物を口の中に保持できなくなり口からこぼしたり、無意識のうちに咽頭の奥に流れたりします。咽頭期が障害されると食物が上手に飲み込めなくなり、鼻へ、逆流したり、気管に入ったりしてむせたりします。食道期が障害されると食物はつかえて飲み込めなくなります。したがって、食事の際にむせるのは、咽頭期が障害されている可能性があります。
咽頭期の誤嚥の原因大きく2つに分けられます。
(1) 嚥下という動作の異常で、喉頭周辺の筋群の動きの異常です。脳血管障害などによる支配神経の麻痺や、筋肉の変性疾患。
(2) 咽頭の形態的な異常で、咽頭の変形や狭窄、たとえば、奇形、外傷、腫瘍などです。
(3) 上記(1)、(2)以外の急性の炎症や心因的な反応による嚥下障害。
誤嚥にたいする、予防機構として、嚥下反射と咳反射があり、年をとってくると、これらの反射が低下してきて、若い時よりむせることが多くなります。

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Q.40 風邪気味で鼻がすっきりしません。鼻うがいをしてもいいですか?
A.40  鼻の病気にかかると、鼻づまりや鼻汁といった症状がでてきます。たとえば、花粉症などでは、水様性鼻汁、副鼻腔炎の時はねばねばした鼻汁や膿性鼻汁でうみのようなどろっとした鼻汁になったりします。水様性鼻汁は自然にぽたぽたと鼻から出てきますが、ねばねばした鼻汁や膿性鼻汁は鼻の奥の方の粘膜に付着したりして、鼻をかんでもかみにくいことがあります。こういうときにいわゆる鼻うがいをすると、すっきりして、気持ちが良くなります。またねばねばした鼻汁や膿性鼻汁の中にはいろいろな細菌がふくまれているので、鼻の中に入れておくのは、鼻の炎症を治りにくくするほか、鼻汁の中の細菌のために、中耳炎をおこしたりします。細菌を出すということでは良いことです。
でも鼻粘膜には多くの目で見えない線毛(小さな毛)があります。この線毛が正常に運動することによって、鼻の中に入った異物や細菌、鼻汁などを洗い流してくれます。感染防御に役立っていますが、冷たい水や、消毒のきつい水道水で洗ったりすると。この線毛の働きを障害することがあるので、注意する必要があります。体温程度に温めた体液の塩分濃度に近い生理的食塩水が良いでしょう。
以前は耳鼻科の外来でも鼻洗浄といった処置がなされていましたが、今は吸引管で鼻の奥まで吸うことができ、同じ効果が得られるので、あまりされていません。

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