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Q.41 のどの構造ってどうなっているのですか?
A.41  のどといっても正確に言えば、口腔、咽頭、喉頭の部分があり、患者さんがどの部位をいっているのかは、問診を行いながら、大方の検討をつけます。口腔は舌圧子をあてながら、全体を見渡します。咽頭部は上・中・下の咽頭に分かれており、上咽頭は後鼻鏡という反射鏡を使い、中咽頭は舌圧子で、下咽頭はやはり喉頭鏡という反射鏡を使い見ていきます。それでは下にその解剖図と主な疾患の記入された図を示します。



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Q.42 のどの奥に赤いぽつぽつがあるのですが、悪いものですか?
A.42  口をあけてそのつきあたりにある赤いぽつぽつはおそらく咽頭後壁のリンパ組織で、リンパ濾胞と呼ばれるものです。扁桃腺のようなものです。のどの炎症があると赤く腫れ上がってきます。

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Q.43 くびに何かしこりがあるのですが?
A.43  頚部のしこりとかんがえられるのは
(1)リンパ節のはれ
おもに感染症のため炎症をおこして、その所属リンパ節が腫れていることがおおいです。
   悪性腫瘍のリンパ節転移っていうのもありますが、触診の感じがコロコロして表面も平滑な感じがして
   癒着もなければ、あまり心配いらないでしょう。
(2)甲状腺のはれ
甲状腺腫や甲状腺の腫瘍、甲状腺炎など。のど仏の下のほうです。
(3)顎下腺のはれ
結石により、顎下腺炎が起こり腫れてきます。両側下顎骨の内側にあります。顎下腺の腫瘍のこともあります。
(4)頚部のう胞
粘液がたまっているふくろのようなもの。あごの真ん中でのど仏より上のほうにあります。
(5)扁桃腺炎によるはれ
顎下腺よりもう少し耳寄りです。

押して痛かったり、だんだんと大きくなるようだったら、1度受診してください。

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Q.44 子供がよく鼻をかめないんですけど。
A.44  鼻をかむという事は鼻にたまった鼻汁を鼻からだすことです。人間の粘膜からはたえず粘液が分泌されていますが、普段は意識することはありません。ひとたびアレルギー性鼻炎や、風邪症状にともなって鼻の中の粘膜にいろいろの刺激症状が加わると、生体の防御反応として粘液が過剰に生産されます。透明だったり、白かったり、黄色かったりしますが、いずれにせよ、鼻の中にたまったままでは鼻呼吸に支障きたしたり、耳と鼻をつなぐ耳管にも影響したりして、耳の症状も伴うようになります。鼻汁が鼻にたまることによって、その中で病原菌が繁殖したりして、炎症反応を長引かせることになり、鼻疾患の悪化や慢性化の原因にもなります。
  鼻はよくかみましょう。
  正しい鼻の噛み方は、
1、必ず片方ずつかむ。つまり片方の鼻はよく押さえる。
2、鼻をかむ前に息こらえをする。
3、ゆっくりと少しずつ空気をフンフンと押し出す感じで鼻をかむ。
このとき、思いっきり強く両方の鼻を力まかせにかんだりすると、中耳腔に思いのほか圧がかかりすぎることがあります。
 結論として、粘性膿性の鼻汁は鼻副鼻腔の炎症性の産物であり、鼻汁の停滞は鼻疾患の増悪、遷延化をきたし、慢性疾患に移行する可能性があります。鼻を頻繁にかむことは治療の一手段と考えてください。

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Q.45 のどのクラミジア感染症が怖いんですけど。
A.45  近年、性生活の活発化や性行為の多様化にともなった、oral sexの一般化により、今までは泌尿器や皮膚かでしかみられなかったいろいろの性感染症が、口腔咽頭粘膜にも発現するようになって来ました。さらにヘルペス感染やクラミジアなどの新しい性感染症が見られるようになってきたようです。
  私どもの診療所にもこういった病気を心配された方がたまにお見えになります。特にクラミジアを心配されてお見えになる方が年に1〜2人います。
  クラミジア感染症の主な感染部位は、男性では尿道、女性では子宮頸管ですが、oral sexにより口腔咽頭にも生じます。でも、クラミジアによる口腔咽頭に特徴的な所見はありません。自覚的な所見も咽頭の異常感や軽いセキなどで、「これがクラミジアです」とは所見だけでは診断できません。したがってこれらの症状が持続してSTD(sexual taransmitted disease)が疑われるときは咽頭のぬぐい液からの抗原検出をおこないます。当院でもその検査キットは準備してあります。

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Q.46 味覚障害について教えてください。
A.46  以前に比べて味覚障害の患者さんは増えている印象があります。高齢者の方は内服しているお薬の影響があります。また、加齢による唾液の分泌低下による口腔内乾燥症も味覚障害の原因になります。よくわからないのが、若い人の味覚障害ですが、まず口腔内を見て、舌苔や舌炎があるかチェックします。また、最近わかっているのは、味覚障害の原因として、亜鉛との関係が重要だということです。動物実験によれば亜鉛欠乏が味覚障害に関与していることが明らかになっています。人間で亜鉛が欠乏するということは、摂取量が少ないか、排泄が過度に行われているか、あるいは摂取はよくても吸収に問題がある場合があります。3つのバランスによって亜鉛の栄養状態がきまります。
1、摂取不足…過度のダイエット、亜鉛の不足した完全静脈栄養
2、吸収障害…クローン病などの消化器疾患、十二指腸の切除を受けている方
3、排泄増加…腎障害とか肝臓障害などでは亜鉛の排泄が増加(糖尿病など)
いずれにしても、血中の亜鉛濃度を測る必要があると思います。その結果、亜鉛濃度が低いばあいは硫酸亜鉛をカプセルに入れて患者さんに内服していただくという治療法がありますが、あいにく当院のレベルではそういった薬を調剤できません。大学病院などの味覚外来などでは取り扱っているようですが。あと、抗潰瘍薬で亜鉛が入っている薬があって、それを常用量服用すると1日の摂取量が十分摂取できるという話もありますが、まだ一般的には行われていません。

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Q.47 耳がかゆくてしょうがないんですけど。
A.47  結構この主訴の方いらっしゃいます。やはり皮膚の弱い方に多く見られ、アトピー体質の方が多いです。耳だけでなく見える範囲の皮膚があらく、ところどころが赤くなって部分によっては痂皮形成していたり、じゅくじゅくしてたりします。耳のなかの皮膚もおなじですが、外耳道の皮膚を掻き壊しているようです。耳の中は見えないため限度をこして掻き毟ってしまうのでしょう。Self control が大切になってます。皮膚科と同じに湿疹の治療になります。ただこの状態が長く続くと、そこに細菌や真菌(カビなど)の感染を引き起こし、なおり辛くなります。時にはかゆみが非常に強くなったり、痛みを伴ったり、耳介周辺まで腫れてきたりすることもあります。そうなったら、もう耳鼻咽喉科を受診してください。

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Q.48 子供のアレルギーの薬は、続けても体に影響ないでしょうか?
A.48  薬である以上何らかの副作用がないとは断言できません。今のお子さんには通年性の鼻アレルギーの方が多くなっています。薬剤の投与期間が長くなる場合があります。通年性といっても症状の軽快している時期や重症の時期もあります。症状にあわせて投薬の量の調節をおこなうように指導しています。
  薬の副作用としてまず考えられるのは、薬剤の薬理作用・投与量によるもので、たとえば、抗ヒスタミン作用での眠気や口渇、投与量や投与期間によっては肝臓障害や腎臓障害を伴うことがあります。また、ほかの薬との飲み合わせによっては薬の作用の増強や別の副作用をおこすことがあります。
  学校検診などで最近のお子さんを見ていますと、何らかの鼻のアレルギーがあるようなお子さんが多々見受けられます。
  わが子が家で鼻がぐじゅぐじゅしていたり、鼻を鳴らしていたりすると親としては気になります。意外と本人は気にしていない場合が多いいようですが、心配した親御さんが子供をどうにかすっきりさせたい一心で来院されます。いろいろ薬を変えても、全然良くなりませんとかおっしゃられると、困ってしまいます。

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Q.49 最初風邪で治療したのですが、咳だけが続きます。内科(小児科)では胸には異常がないと言われてます。
A.49  結構この訴えの患者さんはいらっしゃいます。最初風邪症状で内科を受診し、のどの痛みや熱が下がっても、その後咳だけが2〜3週間続くため、のどの異常を疑ってお見えになります。
  先ず、咳について考えます。
  咳とは、短く息を吸ってそのあと直ぐに声門(声帯があるところ)が閉じて、はく息とともに胸腔内圧が上がり、続いて声門が開いて強い空気の流れとともに気道の内容が押し出される現象です。これはもともと気管支の繊毛運動や蠕動で除去できない気管支内異物を取り除く目的とした反射運動です。すなわち、咳は気道分泌物の除去を目的とする生理的現象であり、むやみに止めるのは良くないことです。
  では、耳鼻科的に見てみましょう。喉頭や咽頭の炎症が残り、局所に膿性の痰が付着していたり、あるいは、のど自体はそれほど問題ないのですが、鼻の症状、特に後鼻漏といって鼻汁がのどにまわるためそれが刺激になっている場合などがあります。
  すっきりしない場合には一度耳鼻科を受診してみましょう。訴えが強い場合はファイバースコープを使って局所をよーく観察します。

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Q.50 若いときに鼻の手術をしています。最近頬の部分が腫れてきて痛いのですが。
A.50  慢性副鼻腔炎の上顎洞根治術後数年から10数年後に上顎洞に発生したのう胞の可能性があります。これは手術時に取り残した粘膜がのう胞を形成したものと考えられています。粘膜からは分泌物が出され、閉鎖空間であるのう胞はその分泌物の内圧のためだんだんと大きくなっていきます。それが頬部まで達したものを術後性頬部嚢胞といいます。
 症状としては頬の圧迫感や、腫れた感じがあったり、そこに感染を伴うと、痛みが出てきます。のう胞の増大方向によっては眼球突出があったり、上顎洞の後壁がのう胞の圧迫で骨の融解をおこして、頭蓋内へ進展していくものもあります。
  診断としては、単純レントゲン写真では術後性変化のため十分な情報が得られません。CTや,MRI画像が役に立ちます。のう胞の広がりや大きさなどの診断のためには是非必要です。
  治療としては腫脹した部分にねらいを定め、歯肉部から針をさして内容物を抜いたりしますが、再発を繰り返す場合は、手術が必要になります。

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