1.先天性耳瘻孔 |
外耳発育上の癒合不全による先天性疾患で、耳前部(耳珠と耳輪の移行部など)に開口している場合が多い。ふだんは開口部から少量の分泌物を出すだけですが、感染がおこると強い化膿性炎症となります。
100〜50人に1人くらいの発症率です。一生無症状のままで過ごす方も多いようです。 |
2.急性外耳炎・耳(じ)せつ |
外耳炎の限局性のものは耳せつともいいます。耳垢除去時などの損傷後、水泳後などにおこることが多く、耳湿疹に合併しておこることもあります。耳痛がおもな訴えですが、軽度の発熱を伴ったり、痛みのために口があかなくなることもあります。あまり耳かきをしすぎるのも困ったものです。 |
3.耳湿疹 |
耳湿疹は、慢性中耳炎の分泌物による刺激、体質などに関係しておこり、かゆみ、灼熱感、耳痛などを訴えることが多く、くり返す方が多い疾患です。 |
4.耳真菌症(オトミコージス) |
外耳炎や湿疹、慢性中耳炎などの続発症としておこります。真菌の寄生によっておこり、かゆみが強く、菌塊が鼓膜をおおうと、閉塞感や難聴を伴うことがあります。なかなか治りにくくてこずります。 |
5.耳垢栓塞 |
耳垢栓塞とは、耳垢が大きくて、外耳道をふさいでしまったものです。長い間気づかず、最近聞こえが悪くなったとか、耳の異物感、あるいは、感染を伴って外字炎症状で来院される方がいらっしゃいます。 |
6.外耳道異物 |
普通に存在しないものが腔内にとどまっていたり、腔壁に刺さっていたりする場合に(外耳道・咽頭・喉頭・気管・気管支・食道など)、これを異物といいます。耳では、綿棒の先のコットンや、子虫、子供では、小石やプラスチックの小さなビーズやビービー弾が多いです。 |
7.鼓膜損傷 |
鼓膜損傷には、耳かき、マッチの軸、鉛筆などが直接鼓膜に達しておこる場合(直達性)と、平手打ちや爆風など圧の急激な変化によっておこる場合(介達性)とがあります。難聴以外に耳鳴りや耳痛も伴うことがあります。子供の耳かきをしていて、他の子が急に当たったりして鼓膜の穿孔をおこすことがあります。 |
8.耳管狭窄症 |
耳管自体の変化や、上咽頭の耳管開口部に周囲からの圧迫などがあると、鼓室内圧の調整がうまくいかなくなり、耳閉塞感・難聴・耳鳴り・自声強聴などの症状がおこります。進行すれば、鼓室内に滲出液がたまるようになります。ふだん山に行ったり、エレベーターに乗ったりしたときに、耳がツーンと痛くなる方はご注意ください。 |
9.滲(浸)出性中耳炎 |
滲出性中耳炎とは鼓室に液体がたまった状態を総称し、耳管狭窄以外にも種々の要素(感染、換気、免疫など)が関与してしていると考えられています。近年症例数も増加し、幼小児の難聴の原因の一つとして注目されています。
たまる液状の性状も種々で、鼓膜の色が黄色や黒褐色に透けて見えることもあります。
日常生活で、他の子と比べるとちょっと聞こえが悪いのではないかとか、学校の健診などで指摘されることもあります。 |
10.急性中耳炎 |
急性中耳炎は、インフルエンザ菌・肺炎球菌・ブドウ球菌・カタラーリス菌などの感染によっておこります。耳管を経て感染がおこることが大部分で、上気道の炎症に続発します。鼓膜に穿孔のある場合は、入浴・水泳時に外耳道から菌が侵入しておこることもあります。しょう紅熱、麻疹、流行性感冒・結核などの血行性感染もまれにあります。
症状としては、耳痛・発熱で始まり、これらの症状は鼓膜穿孔がおこると軽くなります。難聴・耳鳴りなどもたいていあり、時には激しい頭痛を伴うこともあります。乳様突起の炎症が強くなると、耳後部の腫脹や圧痛も加わることがあります。
乳幼児では、カゼ症状に伴って、夜泣きや、ぐずり、発熱期間が長引いている場合は、中耳炎を疑って耳鼻科に相談しましょう。 |
11.慢性中耳炎 |
慢性中耳炎は、鼓膜に穿孔があって難聴と耳漏を伴っています。穿孔はいろいろな部位に、いろいろな大きさでおこります。慢性化膿性中耳炎と真珠腫性中耳炎区別されますが、後者は骨を破壊していくので、内耳炎・頭蓋内合併症(硬膜外膿瘍・髄膜炎・静脈洞炎・脳膿瘍など)や顔面神経麻痺などをおこす危険があります。
耳漏の量と性状はいろいろで、粘液性・粘液膿性あることが多いです。真珠腫性中耳炎では悪臭が強く、肉芽やポリープを生じたものでは血性となることもあります。上気道炎に併発して急性増悪をおこすと、耳漏の量は増加し、また耳痛を訴えることもあります。あまり放っておかないで早めに治療を受けてください。 |
12.メニエール病 |
メニエール病は、耳鳴り・難聴を伴った発作性のめまいをきたす疾患です。アレルギー説・代謝障害説・血管系障害説・栄養障害説・病巣感染説・ストレス説などいろいろの原因があげられていますが、なんらかの機序による内リンパ水腫がその本態であると考えられています。
発作は1回のこともありますが、何回もくり返しておこるのがふつうです。 |
13.突発性難聴 |
原因不明で突然おこる高度の感音性難聴を突発性難聴といいます。多くは一側性です。
本当にある日突然におこり、その発症の時刻を言うことができる人もいます。
めまいや耳鳴りが伴うこともあります。 |