1.唾液腺炎 |
唾液腺炎には、流行性耳下腺炎や化膿性耳下腺炎・顎下腺炎があります。化膿性炎症は、口内不潔などが原因でおこることもありますが、唾液排泄間からの異物の侵入や唾石が原因となっていることが多いです。唾石は石灰沈着によって排泄館内に生じる石状物で、唾液の排泄が妨げられるので唾液腺の腫脹や疼痛をおこします。顎下腺に生じることが多いです。
舌の下で、下の面との間の粘膜が腫れたり、顎が腫れたりします。食事のときの痛みが強くあります。 |
2.咽頭炎 |
急性の咽頭炎は、ウィルス・細菌感染など、いろいろな刺激でおこります。発熱はたいていがあまり強くなく、咽頭痛や咽頭乾燥感・全身違和感程度の症状です。耳に放散する痛みがおこることがあるので、耳痛を訴えてくることもあります。慢性咽頭炎の多くは、咽頭炎の誘因となる刺激が持続する場合で、痛みは強くなく、咽頭不快感・刺激性咳そうなどがおもな症状です。 |
3.急性口蓋扁桃腺炎 |
急性口蓋扁桃腺炎は、レンサ球菌・ブドウ球菌などの感染によっておこりますが、誘因としては、過労・感冒など、身体全体の不調が関係していることが多いです。発熱は高度で悪寒戦慄も伴い、強い咽頭痛・嚥下痛・放散性耳痛・背部通・腰痛・頸部リンパ節圧通などを訴えることがあります。
いわゆる、のどカゼというものです。 |
4.慢性口蓋扁桃腺炎 |
慢性口蓋扁桃腺炎では、自覚症状がないか、あっても軽度です。急性増悪時には急性炎症と同じような症状を呈します。しばしばくり返して急性増悪をおこすものを習慣性アンギーナといいます。
他の臓器に影響を来たしていたり、1年に4〜5回高熱をくり返す場合は、手術を受けることをおすすめします。 |
5.扁桃周囲膿瘍 |
急性扁桃腺炎や慢性扁桃腺炎の急性増悪から移行して、扁桃周囲膿瘍がおこることがあります。嚥下痛が激しく、嚥下時の疼痛は耳や頸部にも放散し、開口が障害され、言語も不明瞭になります。
咽喉をのぞくと、扁桃腺の周囲がプクッと腫れ、本当に痛そうです。嚥下もままならなくなります。 |
6.下咽頭がん |
下咽頭がんでは、初期にはあまりはっきりした症状を示しませんが、しだいに嚥下困難・嚥下痛・嗄声・呼吸困難・喘鳴(ぜんめい)などの症状を呈してきます。 |
7.急性喉頭炎 |
急性喉頭炎は感冒に際しておこる場合が多く、たいてい急性鼻炎・急性咽頭炎を合併しています。嗄声・咳そう・疼痛がおもな症状です。空気の汚れた場所を避け、酒・タバコを控えてください。また、なるべくおしゃべりもやめてください。 |
8.急性声門下喉頭炎(仮性クループ) |
急性声門下喉頭炎は5歳以下の小児におこることが多いです。犬吠様咳そう・吸気性呼吸困難を主訴とします。 |
9.慢性喉頭炎 |
いろいろな程度の嗄声・咳そう・喉頭不快感・習慣的な咳払いなどを訴えます。声帯の一部に浮腫性の増殖を伴ったり(声帯ポリープ・ポリープ様声帯)、結節状隆起を生じたり(声帯結節)することもあります。 |
10.喉頭運動麻痺 |
喉頭運動麻痺は、迷走神経から分かれた反回神経の部分に障害がおこることが多いので、反回神経麻痺ともいいます。反回神経麻痺をおこしている原因がなんであるかを確かめることが最も重要です。嗄声に気づいて診察に来ることが多いですが、両側性の場合は声門が狭くなって呼吸困難や喘鳴(ぜんめい)を伴う場合もあります。
胸部疾患と関係することもあるので、内科の先生にも診察を受けてもらうことがあります。 |
11.喉頭がん |
耳鼻咽喉疾患領域では、喉頭がんは多くみられる病気です。男性に多く(女性の約10倍)、扁平上皮がんが大部分です。症状として、嗄声を訴えることが多いですが、異物感や嚥下痛を主訴とする場合もあって、病状が進めば気道が狭くなって呼吸困難もあらわれてきます。 |
12.口内炎 |
口腔粘膜に生じる炎症で、口腔内の不潔、機械的刺激、熱刺激、感染、栄養障害など、種々の原因によって生じます。赤く境界鮮明な円形または楕円形の小潰瘍をアフタとよびます。再発を繰り返すかたが多いです。また、ヘルペスウイルス。手足口病、口腔カンジダ、ベーチェット病によってもおこることがあります。 |
13.下口唇嚢胞 |
虫歯や、習慣的に唇を噛んだりするため、口唇部の粘液腺排泄管の狭窄をきたし、貯留のう胞を形成します。私の印象ではなぜか、右の方に多いです。 |
14.帯状疱疹 |
水痘・帯状疱疹ウイルスによっておこります。知覚神経の一定の領域に神経痛様疼痛、特徴的な皮疹を認めます。耳鼻科領域では、耳や顔面、口腔内にも生ずることがあります。
このなかでやっかいなのがハント症候群といって、顔面神経麻痺や、内耳神経も侵され難聴、耳鳴り、めまいなどの症状が加わるものもあります。 |